ああ、東京行進曲
「ああ東京行進曲」を読みました。
NHK朝の連続テレビ小説「いちばん星」の原作にもなったこの作品。
主人公の佐藤千夜子は、日本初のレコード歌手として華々しく活躍した人ですが、今その名前を覚えている人はどのくらいいるのでしょう。
私は親戚宅が佐藤千夜子の出身地である天童市にあったので、なんとなーく「日本初のレコード歌手 佐藤千夜子の生家」という案内を見て育ちました。
そして、大人になり弁士になって、映画『東京行進曲』に出会います。
監督・溝口健二、原作・菊池寛というメジャー作品にも関わらず、
現存するのは30分程度の縮小版のみ。
ドラマ部分はあっという間に出会って、あっという間に親友同士が恋敵になり、
ものすごいスピードで異母兄妹であるということが判明するという、
少々慌ただしい展開なのですが、
なぜか冒頭とエンディングに使われる映画主題歌部分のパートはやけにゆったり。
以前にやった公演では、
主題歌部分を歌手の佐藤みづほさんに生歌で歌っていただき、
映画部分を私が語るという試みをしました。
スクリーンに歌詞があらわれると、ゆったりと生歌が始まる。
あんな豪華な『東京行進曲』はそうそう見られません。
あれ、もう一度やってみたいなあ…。
話がそれました。
原作の方の『東京行進曲』は、佐藤千夜子の生涯を描いたもの。
ご家族や関係者にも丁寧に聞き取りをして書いたらしいことと、
良くも悪くも「プロの作家」による文章ではないため、千夜子像が妙にリアル。
なんのデフォルメも解釈もされていないのか、
良いところも悪いところもストレートに伝わってくる。
作者は朝ドラの脚色が気に入らなかったらしく、リアリスティックな生き様がまるで表現されていない「生ぬるいテレビドラマ調」になっていく様子に憤っているけれど、朝ドラでこれをリアルにやるのは少し難しいかもしれない。
後に舞台化され、その出来には満足していたようだけれど、そうだろうなー。
この小説をリアルにビジュアル化するなら、映画か舞台でしょう。
「誰にでも見られて楽しめる」テレビ文化とは合いそうもない。
佐藤千夜子の生涯は、凋落から晩年までがちょっと重苦しすぎます。。
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